『星野くん、廊下で大声を出さないでくださいっ!』


そんな先生の近くで言ってる怒鳴り声すら
ものすっごく遠くから聞こえるぐらい。


俺は美夜に見とれていた。


そんな俺の横でため息を付いている海哉なんかに気が付かなくて


『おい』


そう言いながら俺の頬を抓る海哉に気が付かなくて…………


って!

さすがに痛いっつの!!


『いってぇな!何すんだよ』


そういいながら俺の頬を摘む海哉の手を振り払い海哉を睨みつけながら自分の頬を優しく撫でる。



すると海哉はまたため息を付いた。


『見すぎなんだよ。その………美夜って子ビビって教室戻ったぞ?』


だるそうに美夜がいたはずの方を指差した海哉。


俺はその意外にごつい海哉の指先を見てから指の指す方に視線を向ける。



でもそこにはもう美夜の姿はなくて
あたりを見渡すと慌てた様子で教室に入っていこうとする美夜の姿が見えた。


あ、行ってしまう。


そう思っていたときにはもうすでに
俺の体は勝手に動いていて…………



『美夜っ!』


教室に戻ろうとする美夜の腕をぎゅっと掴んだ。