うるさく高鳴りそうだった心臓は止まり
ただ口を開き目をこれでもかってぐらい見開いた。
そんな俺を楽しそうに眺める聖斗。
「へぇ……ほんとに思い出してないんだ」
くすくすと俺のことをからかうみたいに笑う聖斗。
腹が立つ。
むかつく。
でも、
そんなことよりも
なんでこんなに悲しいのか。
なんでこんなに
心に穴が空いたみたいにぽっかりとしているのか。
「それ………本気で言ってんのか?」
え?
え?
どうゆうこと?
聖斗と美夜がつき合ってた?
は?どうゆうことだよ。
美夜は俺とつき合ってたんじゃないのかよ。
すると、聖斗はにっこりと微笑んだまま俺の方に手を置くと俺の耳元で囁いてきた。
「俺、兄さんには嘘つかないけど?」
そう言って俺の耳元から離れた聖斗の表情は、全く笑ってなくて迷いのない瞳で俺のことわ眺めてた。
俺の心臓が大きく飛び跳ねた。
本気……………なんだ。
聖斗の言ってることは本当で嘘じゃない。
「じゃあ、俺の辞書早く返せよ」
聖斗はその冷たい言葉を投げ捨てると
放心状態の俺を残して自分の部屋に戻ってしまった。

