指で撫でるようにあたしの頬に触れた聖斗。
その触れた指に視線を向けるとその指は何故か濡れている。
「泣いてるから………」
申し訳無さそうな表情であたしの顔をのぞき込んでくる聖斗。
あたしはそんな聖斗を見ながら自分の頬に触れる。
あ…………あたし、泣いてる。
自分でもわからなかった、泣いていることに。
「あの…強く殴りすぎた。ごめん」
そう言って小さく頭を下げてきた聖斗。
あ、れ？
聖斗ってこんなに素直な子だったかな？
そんなことをふっと疑問に思いながら
あたしは頭を下げてくれる聖斗に話しかける。
「ううん、痛くないよ！
ただ………そう、目にゴミが入ったの！」
そう言って強引に自分の目から流れる涙をゴシゴシと拭き取る。
そう。ほっとした。
だって………なんだか、最近
みんなが遠い気がしてたから。
みんな、あたしと距離がある気がしてたから。
だから、聖斗に殴られて
あぁ、なんだ。殴れるほどあたしってみんなの近くにいたんだなって思って………
自分でも何考えてんだろって思うけど………
ほんとに………ものすごく、ほっとしたの。
あたしは流れる涙を拭き終わると
心配そうな顔であたしを見ていた聖斗ににっこりと微笑んでみせる。
「心配してくれてありがとう」
そう笑顔で言うと聖斗はまたグーであたしの頭を殴る。
「心配なんかするか。ばーか」
そう言って口元だけ笑ってくれた聖斗。
あ…………
そのとき、思った。
悠雅と…………笑い方がそっくりだなって。
どんなに顔が違っても
仕草とか、声とか、しゃべり方とか……
目をつぶればあたしの目の前に悠雅がいるような、そんな気にさせる。
「？……美夜、どうした？」
「え？」
