「え?なに、いきなり」
そこに立ってきたのは驚いた表情を見せる悠雅の弟の聖斗だった。
あ………聖斗だったんだ。
あたしは話しかけてくれたのが悠雅じゃないことにあからさまに落ち込んでしまう。
「聖斗だったんだ………」
はぁっとおもいっきりため息を吐くと
聖斗は可愛い顔をむっとさせる。
「何、そのあからさまな落ち込み方。ムカつく」
そう言ってあたしのおでこをちょんっとつついてきた。
だって
悠雅と声が似てたから………
あたしはもう一度ムスッとした聖斗の顔を見る。
声は似てる。
でも、悠雅と違う童顔の顔。
そしてあたしはまたため息を吐く。
「ムカつくっつの」
ごん。
「いた………」
今度はあたしの頭をグーで殴られた。
鈍い痛みがあたしの頭に響く。
でも、自分の心が落ち込んでいるせいか
その痛みはあまり感じられなくて
それどころか………
何故かホッとしてしまう。
「え!?ちょ、なんでだよ!?」
ホッとしているあたしを見て
いきなり聖斗は慌て出す。
「え?どうしたの………?」
あたしは慌てる聖斗を見て首を傾げる。
「だって、お前………」
そう言うと聖斗はあたしの頬に手をのばしてきた。

