あたしは光太が出て行った扉の向こうを見る。


「なに、あれ……」


あたしは光太にデコピンされた額を何度か撫でる。


そして、思い出していた。


光太って………いつからあんな大人っぽい笑顔するようになったんだっけ?


いつの間にか、あたしの知らない間に大人になってしまったんだ。


なんて……考えながらあたしは額に触れていた自分の手を眺める。


『俺なんか見る暇あるなら
 あいつのこと見てやれよ』だっけ?


なにそれ?


光太って悠雅のこと嫌いなんじゃなかったっけ?


…………。



「ふふ……変な光太」


優しくてツンデレな光太。

あなたが応援してくれるなら
あたしはなんだって頑張れる。


見てて、光太……


あたし、悠雅の記憶を取り戻させてみせるから。