ぐちゃぐちゃになった俺の視界。


自分の目尻が熱い。

頬に何か熱い物が落ちる。


あぁ、俺………泣いてるんだ。


自分が泣いていることに気がつくまでだいぶ時間がかかってしまった。


俺は自分の手の甲で涙をふき取る。

けど、次から次へと流れ出してくる涙。


「なんだよ…………これ、意味わかんねぇ」


こんな涙早く止まってしまえ。

そう思いながら自分の目に何度も何度も手をあてる。



あぁ、なんだこれ?

なんでこんなに苦しいんだ?

悲しいんだ?


女の子なんて誰でも一緒なのに。


俺はまだ歪んでいる視界の中で
まだ気持ちよさそうに眠っている美夜に視線をおくる。


「………」


そして、無言のまま美夜の寝ているベッドに近づき、俺は崩れ落ちるみたいに床に膝をつく。



さっき、海哉が触れた美夜の髪を、おでこを触れる。


まだ熱い体。

汗ばんだ前髪。


俺より先に海哉が触れた場所。