美夜のことが好きみたいな……。
「悠雅」
俺が不安を感じて変なことを考えていたとき
海哉がいきなり俺の名前を呼んだ。
「な、なんだよ…」
そう言って俺は海哉の事を見る。
でも海哉は俺の事を見ない。
ずっと……ずっと眠っている美夜を見ている。
なんで、そんなに美夜を見つめてる?
俺の心の中に次々と浮かんでくる不安。
不安で不安で…
海哉に自分の心の中で浮かび上がってくる疑問を聞いてみたくなる。
でも俺はその衝動をグッと我慢して
海哉の言葉に耳を傾ける。
「美夜、熱あんの?」
海哉はそう言いながら眠る美夜の汗ばんで少し濡れてしまった前髪に触れる。
ドキッとした、俺の心臓。
それは美夜の前髪に触れたから……
だけじゃない。
今、海哉は……美夜のことを
呼び捨てで呼んだ。
そのことに俺はひどく焦ってしまう。
今まで……こいつは、海哉は……
美夜のことを呼び捨てだったか?

