gently〜時間をおいかけて〜

何にもなくて、真っ白で、2人だけ――それは、ウソ偽りも何にもない、本当に幸せな夢だった。

不幸なんて言う文字は知らないと言うくらいの、幸せな夢だった。


次に目を開けた時は、空腹を覚えてからだった。

それは航も、同じことだったらしい。

「お昼だもんな」

携帯電話で時間を見た航がクスッと笑った。

「そっか、もうそんな時間か」

道理でお腹が空く訳だ。

朝ご飯を食べてないから当たり前だ。

朝から何も食べずに、ずーっとベッドで寝ていたのだ。

お腹が空くのは当然のことである。