スーッと、莢が静かに寝息を立てている。

ホッとして、腕の中から莢を離した。

そのまま彼女を寝かせると、肩までふとんをかけた。

白い頬には、涙の跡があった。

泣いたもんなと思いながら、俺は指で涙の跡を消した。

――航は、悪くないから

泣きながら、莢はそう言った。

気づいていたのかな?

俺の見ていた夢に、莢は気づいていたのかな?

見る夢は、いつも一緒の夢だった。

見るのは、莢――母親の夢だった。

決まって、いつもの夢である。

俺はいつも、同じ夢を見る。