gently〜時間をおいかけて〜

航は悪くない。

悪いのはあたしだって、そう言いたくなる。

けど言えないのは、あたしに勇気がないからだ。

そう言ってしまえば、航は苦しまないのに。

そう言ってしまえば、航は泣かないのに。

あたしはそんなもどかしい気持ちを抱えたまま、浅い眠りの中で朝を迎えるのだ。


「ただいま」

「おかえり」

わざわざ玄関にきて、航はあたしを迎えてくれた。

迎えてくれる人がいるって言うのは、本当にいいことだなと思った。