gently〜時間をおいかけて〜

あたし、知ってるんだ。

航が夢を見て、眠りながら泣いていることを知っているんだ。

夜中にトイレで目を覚まして、ふと航に視線を向けると、泣いてるの。

眠りながら、泣いてるの。

たぶん航が見ているのは、泣きたくなるぐらいに悲しい夢なんだ。

彼が住む未来の世界でも、彼は泣いていたんじゃないかって思う。

その泣かせる原因を作ったのはあたしだと思うと、胸が痛くて仕方がない。

航は、悩んだんじゃないだろうか。

あたしたちの仲が悪いのは、自分のせいじゃないだろうかって。

自分が悪いばかりに、仲が悪いんじゃないだろうかって。

そう悩む航が目に見えて、あたしはそのたびに首を横に振りたくなった。