そこにいるはずの莢の姿がなかった。

「莢!?」

寒いのを忘れて、俺はふとんから飛び出た。

「莢、どこにいるんだ!?」

俺は莢を探した。

こんな狭い部屋は、すぐに探し終えてしまう。

でも、この部屋の中に莢の姿はなかった。

ふと俺の頭の中に浮かんだ光景は、さっきの夢だった。

狭い家の中で、何度と何度も1人で叫び続けていた。

もしかして、俺を置いて出て行ったのか…?

いても立ってもいられなくて、すでに充電を終えた枕元の携帯電話に手を伸ばした。