gently〜時間をおいかけて〜

ショッピングモールの中に入った時は、もうお昼だった。

「5階は食べるところがいっぱいあるから、どこか選んでお昼にしない?」

そう聞いたあたしに、
「ん、そうしよう」

航が答えた。

あたしたちはエスカレーターで5階のレストラン街へとのぼった。

お昼と言うことと今日が土曜日と言うこともあり、5階は人で混みあっていた。

右を見ても、左を見ても、人ばかりである。

「すごい人ごみ」

ため息混じりに航が呟いた。

「人ごみ嫌い?」

あたしが聞くと、
「嫌いってほどじゃない。

まあ、苦手かなとは思うけど」

航が答えた。