gently〜時間をおいかけて〜

便利な世の中だなあ。

買い物するのもパソコンと携帯電話だけで充分だなんて、本当にすごいなあ。

要は、自分の足で外に出なくてもいいってことでしょう?

そのうえ商品も早く届いちゃうなんて、よくできた時代になったもんだ。

「あまり便利過ぎるのも、楽じゃないよ」

あたしの頭の中を読んだとでも言うように、航が言った。

「えっ?」

そう聞き返したあたしに、
「そりゃ、楽かも知れない。

こんな寒い日にいちいち買い物に出かけなくてもいいうえに、閉店時間を気にする必要もないと思うからいいと思うよ。

けどさ」

航はそこで言葉を区切った。

「けど?」

「…それはそれで、寂しい」