gently〜時間をおいかけて〜

そんなことを思いながら中に入ると、風見さんらしき人を探した。

すると、奥まった席のところから手をあげた女性がいた。

その女性が、風見さんなのだろう。

黒髪のボブがよく似合う、少し童顔な女の人だった。

あたしはそこに行くと、
「風見さん、ですか?」

彼女に声をかけた。

「はい」

声をかけたあたしに、彼女は首を縦に振ってうなずいた。

「座ってください」

風見さんが指差した向かいの椅子に、あたしは腰を下ろした。

「それで、何の用ですか?」

いきなりと言うのも変だけど、あたしはすぐに本題を持ち出した。