よくやるものだ。

それなのにレポートを忘れて学校へと行ってしまった。

「提出日は今日だっただろ」

母親らしくしっかりしてる性格のはずなのに、莢はどこか抜けている。

学校までレポートを届けに行った俺が見たものは、目を疑う光景だった。

「莢?」

彼女の隣にいたのは、若き日の父だった。

いつの間に、彼と親しくなっていたのだろうか?

莢の口からそんな話を聞いたことがなかった。

なのに…莢の隣にいるのは、父親である。

身も心も莢をボロボロにした、あの父親だった。

驚いたように目を見開く莢に対して、父親は俺と莢を交互に見つめて不思議そうな顔をしていた。