gently〜時間をおいかけて〜

「今日も寒いねー」

三島くんがコートの襟を立てたので、
「ホント、寒いよ」

あたしもマフラーを巻き直した。

「何かさ、11月の終わりって1番寒いと思わない?」

三島くんが話しかけてきた。

「んー、そうかな?

あたしは1月と2月が1番寒いと思うな。

11月の終わりの寒さなんて、まだ序の口じゃない?」

そう言ったあたしに、
「うわっ、まだ寒くなるのかよ。

早く春こないかなあ」

三島くんはやれやれと白い息を吐いた。

当たり前のように、三島くんと何気ない会話を交わした。