ありがとう

いざ、ベットに押し倒されると、相手が結婚してるとかどうでもよくなってしまった。
どうでもいい・・・。
せっかく恋がしたいってはりきっていたのに、結局こういうことなんだ。
それでもいい。
あたしがあなたの、要求不満を解消できるなら。
それにどうせ、恋をしたらする行為なのだから。
あたしが昨日一生懸命選んだ服を脱がせていく。
そしてブラ・・・。
何故かこのときあたしには解放感が溢れていた。
今まで、こういう行為を避けてきたからか、新鮮で、逆にあたしが体を求めていた。
要求不満だったのはあたしの方なのではないだろうか。
きっと、今まであたしの裏の部分を避けてきたんだ。
だから、こういう場面になってやっと、裏のあたしが出てきたのだろう。
あの事件は、裏のあたしを隠すいいキッカケだったのかもしれない。
でも、今更後には戻れないだろう。
どんどん、あたしが狂ってしまいそうで恐い。
「あ・・・っん・・」
甘い声が響く。
もっと、あたしを求めてほしかった。
「・・・いっ、あ・・・」
生まれて2回目の、この行為になぜか親しみを覚える。
「もっと」あたしの心が叫んでる。
前のあたしはどこに行ってしまったんだろう。
堺さんが、服を着始める。
「そろそろ帰るね。嫁に怒られるし」
「はい」
何故か悲しい気持ちになった。
今日のあたしは帰る場所がないから。
「楓ちゃんとヤって、一気にストレス発散できたよ。ありがと」
「え・・・っ」
褒められた気がして嬉しかった。
「じゃあ、またね」
「はい、また・・・」
またね。何て言うけど、もうあなたとあたしは会うことはないだろう。
一夜限りの関係だったのだから。
分かってるくせに。
あたしも服を着て、ホテルを出た。
そして、ネットカフェに向かう。
本当にあたしはどうしてしまったんだろう。
これは夢なの・・・?
いや、現実だ。
堺さんに触れられた肌がそう教えてくれる。
罪悪感・・・・
よりも、何か違うものを感じていた。
今のあたしは、もうどうにもできないのではないだろうか。
欲望に満たされたくて、でもまだまだ満たされない。
だったら、このまま欲望が満たされるまで突き進むしかないんだ。
あたしはネットであるページに行った。