体育館への道のりは沈黙で哀しさで
みたされていた。







─────がらっ。


「かんとくー。」

「おー、拓、元気だな。」

「爺くせーの。」

「爺いうな。」

拓と話してる、山村洋平をみながら
菜摘実さんは微笑みをうかべてる。

「好き、だったなぁ…。」

もぅ、届かない人、をみるような瞳。

山村洋平に菜摘実さんは背をむけた。

「はなしてきなよ。」

「…別にいい。」

「じゃあ…」

お兄ちゃんは微笑みをうかべて。

「はなしてきてください。」

「ぇ…。」

「じゃないと僕、格好悪い。」

「そう?」

「命令するよ?はなしてきなさい。」

「なら、してくる。」

菜摘実さんの顔をみると
怒りとか戸惑いとか悲しみとか
そんな色じゃなくて安堵してた。