今という時が
私にとって幸せだった。

ながれゆく時が
美しく感じられた。

今という時が存在する
一瞬の時に私は美さえ、
感じていたんだ...。

リビングからきこえる
話し声が、嬉しくて、
嬉しくて仕方がなくて。

人がいてくれるって
こんなにも安心できて
幸せだったんだなって思えた。

いつしか聞こえ始めた笑い声が
部屋を包み込んでいった。


『ハンバーグ、できた...。』


今が終わったら
すぐさまそれは過去となり
忘れ去られていくように
私は今という時の最上の
幸せを忘れてしまうんじゃ
ないかと……。

不安になった。

今が過去となり、
シャボン玉のように
ふわり、と浮いて割れて
存在自体がなくなるのが。

こわくて……。

誰か。に覚えられている限り、
存在がある過去達は
私が覚えてなければ
今という時が過去になる時に
すぐさま、
消えてしまう気がしたから。

晃人も麗人も聖も...。




この今という時が
過去となったとき、
忘れてしまう気がしたから。