その...過去の話を
どうしても誰かに
知ってもらいたかった。

そしたら
心が痛む理由も全て
わかるんじゃないかって。

ずぅっと
そう思えていたから。



『あのね...。麗人。
 今までね、麗人に私
 何にも話してなかった。
 麗人のお兄さんの事を。
 だからね。話そうと思うの。
 けどね………。』


『ん………?なんだ。』

麗人は優しく微笑んで
くれていて...。

心がなんかふわってなって
暖かくなってなんだか
安心したの。とっても。



『聖...。にも
 きいててもらいたいんだ、
 私の話を。
 なんかね………。
 きいてくれた人が多いほど
 私、元気が出る気がするの。
 だから...。』


『わかった。それ以上
 なにも言うな。
 聖のトコロに行くぞ。
 ───兄貴、何で
 今頃、柚子の所に
 現れたんだろうな………?
 そんなことはどうでもいいけど
 いつでも俺を頼れよ?
 お前がどんな気持ちで
 俺を頼ろうと、俺は
 大歓迎だから、な。』


『ありがとうっ麗人。』



何で………私は
本当の意味で優しい麗人を
先に好きになれなかったのかな?


もし...晃人より先に
麗人を見てたら………
好きになってたら………
私は今のこんな感情に
とりつかれなかったかな??


訳が、わからないよ...。