教室バロック






「 あそこの、あんたのお友達? 」


「 ――… え? 」



ソイツに声を掛けられて
振り向いた方

那智達が立っていた場所には誰もいなくて
足元には、タオルが一枚落ちてる


道を隔てた歩道の上で
那智と、ケイトさんと ――

どうしても、ヤツラにしか見えない影が
街灯の下で乱闘していて


相手側の、圧倒的な激しい怒声が、
静かなビルに反射し響き渡る




ガードレールを飛び越えようとした

けれど
キューを首元にあてられ、止められる





肩を組まれ、耳元で声



「 クウヤ

―― 解散した" 臙脂 "の、
ギタリストでしょ?

… やだなぁ
あいつら、鉄パイプ持ってるし


ま、 これでいっか 」



キューで自分の肩を、トントンと叩き

ガードレール脇に置かれた
自転車の列を、片脚で蹴って
思い切り倒した



金属が倒れて行く激しい音に
乱闘していた視線が、
対象から離れ、振り向く




肩にはキュー
ジーンズの脚が
『 よいしょっと 』とガードを越え
リズムを付けて、走り出すと




―― 能面みたいに微笑んでいた表情が

一瞬にして、般若の笑いに変わった