教室バロック











「  那智  」



「 お! 来た来た! 」



新宿駅前


しゃがみ込み
見馴れない男連中と笑っていた那智が
煙草を捨てながら、こちらを振り返る


タオルを頭に巻いた奴
首からタトゥーが覗く奴


見た目とは違った、人懐こい笑顔で
挨拶して来た


「 こいつ空哉
急に電話してごめんな?

あ、こっちのアホ面達は、
中学の時からのツレ
オンナいない、かわいそうな子達なの 」

金髪の奴が
『 今いねえだけだよ バーカ!! 』と叫び
皆、ゲラゲラ笑うと
イルミネーションの下で
待ち合わせしている周囲の視線が、
一斉に向いた


でも、それは一瞬



どうすんべ? どこ行く?と
歩き始めた後を
那智が再びタバコに火をつけながら
ゆっくり着いて行く




「 ―― 那智 」


「 ん? 」



「 いや

…… 電話くれてサンキュー 」


「 なんだよ

あの金髪 佐野っつんだけどさ
昨日女にフラれたばっかりで

騒ぐなら、人数多い方がいいじゃん?

ただクリスマスだから
電話かけても集まらなくて


… おまえが来るとは思わなかったけど

――― なんか、あったか? 」



「 …ちょっと
家庭内暴力しそうになってたわ 」

那智は吹き出し、
『馬鹿じゃねえの』と笑って
横断歩道へ


新宿ARUTOビルの、デカい電光掲示板

点滅する信号