教室バロック







「 …少し、寄る所あるからよ 」



白い息を吐きながら
少し、ぎこちない笑いを漏らした




「 ―― なあ 空哉


…しつこい様だけどさ

やっぱりお前、ギター弾こうぜ 」



「 ―― 心配しなくても
ちゃんと弾くよ 」



「 …え?!?! 」



「 趣味で、当面はやるけどな 」



「 …―― 何だよそれ… 」


一瞬パッと、明るくなった那智の顔が
趣味と言った途端に、眉をひそめる





「 …ちゃんと

――― コイツの横で、ずっと弾いてたい


そう思うようなヤツに出会えたら
全部賭けてでも、やるよ 」




「 ……なあ、それ…

ミュージシャンとして俺
おもいっきり、フラれてねえか? 」



「 ―― ごめんなさい。 」



「 ……うっわっ 何だよっ!

… え 俺、何が足りない?!
音楽への情熱と愛だけは、
誰にも負けないつもりなんですが?! 」



肩を組まれ、体重を乗せられ
姿勢を低くして、そこから逃れる



「 わかんねえよオレにも!!

… ただ漠然と
そう思ってるだけだから 」



「 … ここはあれか?

" アタシをフッた事
絶対に後悔させてやるからねっ "とか

そういう台詞いっとくのが正しい? 」






「 ―― そう思わせてくれよ いつかさ 」







「 うっわっ!!!マジで

その白い歯!!
本気でお前、ムカつくわっ!!!

も… じゃあね!!
アタシ帰るからっ!!

もう追って来ても無駄だからねっ! 」




那智は
変に律儀に今年も、
『よいお年を!』と笑って

VOICEを彷彿させる
鋲のついたライダースの背中を向けて
ゆっくりした足取りで
帰宅の波に、飲み込まれて行った