教室バロック





校庭のサッカーゴールの
柵の上には雪が積もりだし


門に向かう地面には
いくつもの足跡が続く



「 あ…! 三年の酒井さんだ 」


比奈が突然
柏に挨拶を繰り返す、賑やかな波の中で
ポツンと門の横に立つ
黒いコートを着た人に、視線を向ける



「 酒井って、あの? 」

湯浅が比奈に問い
うんうん!とそれに答える

「 うん フィギュアやってて
あんまり、学校来れない人 」





「 …原型師? 」

真田がそう呟いて
比奈が吹き出し、片手を必死に振り
桜井が滑った



那智が、真田の肩をポンと叩く

「 …真田 違えよ…
氷の上で滑る方のフィギュアな… 」



「 …… 」




「 なんだろう…

ああ!!きっと花さん待ってるんだよ! 」


桜井が
ミトンの手袋の 両手を叩いた



「 花さん? 」



「 うんっ
真田くん、しらない?

ほら 花さんのおまじない

去年も受験の人とか、
皆やってもらってて
全員!! 合格したの!


確か、年末に、
日本で大会あるとか聞いたから 」




「 あ〜… なるほどお


でも…
なんか花さんのあれ、
やめた方がいいぜって
俺、言おうと思ってるんだけどな… 」


「 え… なぜ? 」