机に 左手を置いて
久し振りに弦に触れた指を
軽く、握った
灰色の空に ボタン雪が舞う
「 おう
…… それにさ!
オマエ、もしヴォーカル
本気でやるんだったら
ギター、少し弾けた方が
楽しくなるかもしんないぞ?
だから絶対、持ってた方がいいって! 」
「 んなのへ〜キだって!!
俺はヴォーカル志望よ?
楽器やら楽譜なんかわからんでも
ど〜とでもなる!!
曲は作ってもらえばいいし、
詞とかは、俺がかくけどな!
CD聞いて、すぐ曲覚えるし
カラオケでもかなり高得点行くしさ
…つかさ
やっぱバンド一緒にやろうぜ?!
さっき、弾いてるの見て確信した!
やっぱお前は弾くべきだ!! 」
「――― 雪、
なんかデカくなって来たから
もう帰ろうぜ
東京はすぐに電車、止まるからな 」
「 …おい
俺さあ、真剣にいってんのよ?
…前のバンドの奴らは
引いたかなんだか知らないけど
俺は全然そんなの気にしねえし…!! 」
「 真木!! 那智!!
駅まで一緒に帰ろう〜!
下で桜とか、橘待ってるから〜 」
教室のドア口から、比奈が顔を覗かせ
すれ違う友達に
『また三学期ね〜!』と
声をかけながら走って行った


