教室バロック















「 やる、 それ 」





帰り支度の騒がしい教室の中
白いヒーター前

オレの席の横に
置いたままだったギターケースを

那智に手渡そうしたのに
そう言われて 突っ返された



「 …いらねえよ 」


「 何でだよ 聞いたらそれ
そこそこ良いギターだろ?

そりゃギプソンのレスポールに比べりゃ
あれだろうけど… 」



「 そういう問題じゃねえ

―― ちゃんと自分で大事に使っとけや 」




「 持って帰んのだるいんだよ!!
俺はこれから帰りに新宿まで行って、
CD買わないといけないんだって 」



「 ワザワザ新宿? 」


「 その店だけ特別特典が付くんだよ…
歴代ステッカー五種! 」


「 おお それは 」


「 だろだろ?!
昔ライヴハウスに貼ってた
初期の頃の復刻版らしくて…

どうしようかな〜
なんかさ、 」



「 … でも、やっぱ持って帰れねえわ 」



「 …何でだよ 強情っ張りだな 」



「 帰って来るんだよ 家族が  正月に」


そのセリフで
那智の動きがピタリと止まる






「 …あ そっか…

クリスマスと正月か… 」