数分後
床に土下座する那智がいた
「 マジすいません
ほんっとーにすいません! 真木様! 」
「 何だその豹変の仕方は!! 」
「 だっ…
マジこんな弾けると思わなかったし
―― お願いします!
俺のバンドに入ってください!
真木、 曲とか…作れる?! 」
「 …作れるけど…
ピアノとギターで作るのとじゃ
全然違うし… 」
「 そうなのか? 」
「 …おう 」
「 ギターはもらいもんで持ってたけど
正直、
楽器弾いた事ないからわからねー!
判りやすく説明頼む!! 」
「 え、ええと…例えば… 」
「 うん!! 」
「 えと…三人組のバンド
ELCがさ、前、キーボード抜けて 」
「 うん!! 」
「 …あそこは
ずっとキーボードが曲作ってて
で、抜けてからはギターの人が
曲作る様になったんだけど…
ギターはドレミファの、
ハ長調の延長で作っちゃう人が多くて
フレットをキーが合う様に
ズラすっだけっつか
だから凄い、音程取りづらそうってか
歌いづらそうにしてるだろ?
ピアノって、決まった範囲が無いから
全部の鍵盤使って、
幅広い曲作る人が多いけど
ヴォーカルの声域の上と下、
何処まで出るかで普通、作るから
だから、素直に歌えばいい部分あるし
楽だったりするんだけど… 」
「 お〜!!よくわかんねえけど
俺達のバンドは、どっちで作るんだ? 」
「 …入るって言ってねえよ
他に作れる奴がいるなら
それはその方がいい
後は勝手にやれや 」
「 おまえ… そんな腕見せ付けて
それで済むと思ってんのか?! 」
「 ―― あのさ
ギター人口なんて、多いんだから
そのベーシストと話するなりして
…親の事もあるし、別に捜せよ 」
「 俺は気にしないぞ?!
さっきも言った! 親は… 」
「 …そんな事言われるとさ
そんな事を
願っちゃう自分がいるのに気が付いて
イヤでしょうがないんだわ
―― やっぱり親だからさ 」


