「 真木も… って 」
「 結構、本気かも
―― だからって
何するわけじゃないけど 」
「 全然、話してる所みた事ねえぞ? 」
「 …俺も光子と、
立ち位置的に変わらないし
喋ってたりすると、
花さんが何言われるか、
わかんねえからさ 」
「 気い使い過ぎじゃね? 」
「 ―― なあ 真木さ
バンド、マジでやらないか? 」
「 …今の今、話したばっかで
なーに言ってんだオメエは 」
「 ―― 親はさ、
たいてい、先に死ぬよ 真木 」
「 ……… 」
「 親の言いなりになって
そのまま進んで
―――― 何が残る?
俺はその時、後悔したくない 」
「 …VOICEの歌詞、まんまじゃん 」
那智はニヤッと笑って
歌を唄い始めた
上手いとは言えないけど
『 いい声 』ってのがピッタリの低い声
一旦やめて、粥を皿に入れてくれた
「 ベースはさ…
前に新宿で遊んだ時に、
知り合った女が弾ける
ドラマーは凄い上手いのが居るんだけど
サポートでしか入らないらしくて
第一、全然捕まらなくて
…まあ、捕まっても
俺と一緒に組んでくれる
レベルじゃないわな 」
「 そんなに上手いの? 」
「 その女からすると、大学生からも
勧誘受けてるって
ただ本人が、かなり時間にルーズで
平気でリハ遅れて来たりすっから
実用的じゃないとか言ってた 」
「 あ、ムリ …実用的とか言う女と
オレ絶対合う気がしねえ 」
「 何だよ 慌てるなってー 」
那智は、ベットに膝を着いて
クローゼットから、何か取り出した
―― それは
かなり古い、レスポールのレプリカ
「 …弾いてみてよ 真木 」
… 少しこちらを値踏みする様な
挑戦的な顔
少しムッとして、それを受け取った


