「 …親父さんは、なにも言わないの? 」
「 …家の命令で、結婚したみたいだし
愛人もいるっぽいけど
いいオヤジだし
―― あの母親に息がつまって
他の所に行くキモチもわかる気がする 」
「 …だから
お前モテるのに、いつもふざけて
付き合うとかしないのか 」
「 ―― カノジョ
何されるかわかんないし
オマエ、あれだぜ?
部屋でHなんてしてみろよ
… 昼ドラ、リアル展開が目に見えてる
それに 」
「 うん 」
「 ……てかよー
オマエが教えてくれたケータイ小説
なんか別のないの?
"鼻が利かないとか"から
"彼はがんばって、一ヶ月でぬけた
さすがアタシのカレシ"書いてあったけど
あそこまで行くと、
普通、生活出来ないぜ?
木村が言ってたから、確かだし」
「 木村、患者病棟ある
病院の息子だっけ
つか、
ウソっぽいから良いんだろ?
… グリムと変わらないんだから
童話とか言ってるけど
鍋で実の娘煮込もうとしたり
焼けた靴で踊り狂うわ
よほどホラーで、残虐じゃん 」
「 まあ、そうだけどな… 」
「 じゃあこれは?
塾の講師と生徒の純愛系で、
見ててホンノリするし
後は… 本当に童話書いてる人いて
エロシーンとか何もないけど
平和な感じで
寝る前に、読んでたりする 」
「 あ、先生って言えばさ 」
「 うん 」
「 ―― 花さんて、何で顔半分
あんなにキズあるんだ? 事故? 」
「 結構有名な話だし
本人も隠してないから…
なんかな、子供の頃に
上から工事現場の鉄材が
いきなり落ちて来たんだと
今でも定期的に病院通ってて
去年撮った写真とか見せてもらったけど
すごいキレイに治って来てる 」
「 そっかぁ…
まーでも、花さんイイ奴だし
…キズよりダイエットした方が… 」
那智は爆笑して
台所で煮ていた粥を、
テーブルに移動して来た
「 … 真木も、花さん、好きなのか? 」


