教室バロック







開けられた窓から
夕日が射す



ワンルームの一階

壁には洋楽ミュージシャンのポスターと
オレらの親世代に全盛期だった
VOICEと言う、邦楽ロックの曲がかかり

那智はテレビを見ながら
それと一緒に歌っている



「 … この曲 何だっけ 」


ベットの上から体を起こすと
那智は お、と呟いて
少し体をこちらに向ける


「 VOICEの Look at Me

日本中のヤツラが夢中になって
たった五年で解散したバンド

… 俺も後、二十年くらい、
早く生まれたかった 」



「 …ごめん 今、何時? 」


「 三時半くらい

だいぶ、日が落ちるの早くなったよなぁ


ああ、うちの学校、ユルいワリには
無断欠席すると、親に連絡行くから
朝、電話かけといた


―― ちょうど、花さん、出たからさ

後夜祭前に、真木の母ちゃん
少し騒いだ時、いたし

上手いことやってくれるって言ってたから
心配ないよ 」





「 ――― ごめん 」


「 粥作るから、少し食えよ

なにも入れないでまた吐くと
血とか出るらしいから 」


台所に立つ那智を見送り
その言葉を聞いて、ホッとする



「 ―― 真木、お前さ

バンド、 やってないだろ 」





突然 ウソを見抜かれて
体が一瞬、ふるえた