朝
いつも通りに、重い弁当箱を渡されて
家を出たけれど
忘れ物をしたから、一度、そっと戻った
洗濯機の前で
オレの脱いだシャツに
頬を押し付ける母親の姿を見て愕然とする
――――― 吐く
駅前にトイレがある
だけどそこまで持たなくて
途中の公園の草むらに走って
貧血まで起きて来て、
なにも見えなくなった
" 真木?! どうした?! "
後ろから掛けられた声
すぐに那智だとは判ったけれど
返事が出来なくて
連れられて入った部屋は
――― 女の匂いと、男の汗の匂い
こもったそれに、
ミゾオチがまた反応して
トイレに飛び込み、またひたすら
胃液を絞った


