途端に、女子の一人が泣き出す
「 ――― 落ち着け、タマ
佐和子、柏んとこには知らせたか? 」
「 原ちゃんが知らせに行ってる! 」
「 三野輪、タマの事見てやって
佐和子、トイレまで案内しろや 」
「 うん!! 」
階段を駆け降り、一階
大浴場のある のれんの横
細い廊下があって、
消火栓の赤いランプが光る
女子トイレ
まだ誰も来ていなかった
手洗い場と、奥に個室が三つ
一番端の扉だけ閉まっている
「 ――― 空哉!! 」
息を荒げた那智がやってきて
必死に閉じられたドアを叩く
上に隙間
かなり広いが、
那智もオレも入るのはムリだ
「 那智 … りっちゃん呼んで来い
後、フロントにも知らせてくれ 」
「 な … あ 」
那智はコクリと頷くと
バタバタと廊下に出て行く
「 …なあ 佐和子
古山と舞洲呼んで来られるか?
アイツら、医者の息子だからよ 」
「 わ… わかった!! 」