「 聞いて! 今日はね?!
夜は美味しいお肉を頂いたから
焼き肉にでもしましょうよ!
お父さん遅いけど、構やしないわ! 」
「 …タカコは? 」
「 さあ…
フミさんが面倒みてくれてるでしょ?
あ!見て!
この着物、ステキでしょう?!
お華でお友達になった方が
仕立てて下さったのよ!
くうやちゃんに1番最初に見せたくって
着てきちゃったの! 」
「 …… 今日は
何時間、待ってたの 」
「 え …やだもう!
毎日待ち伏せしてたのバレてた?!
ん〜… お買い物もしてたし
三時間くらいかしら…
気にしないで!
この間なんか、ホラ!
学園祭の間は学校の中に入れたけど
その後の後夜祭後は、
父兄、追い出されちゃったじゃない
あの時は五時間くらい待ったし
あ!くうやちゃん見て見て!
ドーナツフェアだって!
買って行っちゃお! ね? 」
「 …じゃあ
その隙にオレ、CD買って来るから 」
「 あらやだ!
行くならお母さんも行くわよ?
何でも買ってあげる!
私もね?くうやちゃんが好きな
ビジュアルバンドの、"サンクチュアリ"?
毎日聞いてるけど良いわね〜
詩はちょっと暗いし、意味判らないけど
頽廃的っていうか 」
「 …やっぱりいいや
ドーナツ買って帰ろう 」
「 あら!お腹すいちゃった?
やっぱり男の子ねえ
…あのお弁当で足りないって事は
もう少し量、
増やした方が良いのかしら… 」
オレは焦りながら
一人はしゃぐ、母親の背を押す
――― 今、 那智とすれ違った


