二歳の時から施設に入所していた夢咲に家族の暖かさや、温もりを知るすべはなかった。

夢咲にとっての家族は、同じご飯を食べて、広い部屋で小さな布団を部屋いっぱいに敷き詰めて寝起きを共にする『館』の子供達。

みんなが兄弟で姉妹。

大人達が親…

偽りの家族がここには存在していた。

『施設』に入所したからといって、家族がいないわけではない。

上を見上げれば当たり前のようにいつもある空。

その空の下で家族は別の生活をしている。

『施設』に入所するには『児童相談所』で細かな手続きを行う。

そこで入所の有無が決められる。