小学校入学式まで後三日という日、夢咲は施設に帰らされる。

まだまだパパの傍に居たい。

だけど、そんな事言えるわけがない。

言えばパパを困らせることを小さいながらに知っていた。

知っていたというよりは、直感で感じていたに近いかもしれない。

施設までの道中、後部座席で流れる景色を眺める。

家に帰る時と変わらない景色は、なぜか色褪せて見える。

心が淋しいと、悲しいと叫んでいた。

だから、目に見えるもの全てが色褪せて見えたのかもしれない。

流れゆく景色は早く、すぐに施設に到着した。

別れの時はあっさりで、夢咲は笑顔でパパ達が乗る車を見送る。

門が出るまでの数メートルの道は一瞬で、パパ達の車は姿を消した。