夢咲がママを感じる方法は、何もない。

だからといって感じたいとさえ思わない。

物心ついた時から母親がいないという事が当たり前だった。

だから何の違和感も感じずに、日々を過ごしていた。

ママに対して何の感情も抱かない。

だけど、暗闇で毎晩聞こえる言葉に心が揺れる。

『…ママ…』

ママって何?

みんなは誰を求めてるの?



募る疑問を抱えながら時間は流れていき、小学生にあがる前の春休み。

パパが面会に来た。

長期の休みの時だけパパは面会に来てくれる。

毎週土曜日に面会に来る親もいれば、長期の休みの時に面会に来る親もいる。