ふわっ、とその場の空気が軽くなった。 茶色のボサボサ(ふわふわ?)の髪が風を受けながら揺れる。 朝見た、あの顔がある。 「咲斗、さん・・・・・・、」 私はそいつの名前をつぶやいた。 「紹介にあがりました。片桐咲斗です」 美しい、そうとしかいいようのない笑顔を振りまいた。 そんな笑顔も私には胡散臭いようにしか見えない。 「それでは説明したいと思います」 丁寧な口調でそう切り出した咲斗さんを 女の人は(百合丘先生を含め)うっとりとした顔で咲斗さんを見つめた。