「別に…
そういう意味じゃねーよ。」


剛志はため息混じりで言った。


廊下にいる生徒たちは、興味津々といった感じで二人を見ている。


乃里子のクラスメイトも、チラチラと二人を見ている。


「…こういう注目のされ方は気に入らないんだけど?」


「…安心しろ、俺もだ。」


二人は同時にため息をついた。


結局その日、休み時間に目的の人物が現れる事はなかった。



「剛志がいる前に現れる訳ないじゃない。」


乃里子は呆れたように言いながら『放課後姫』に姿を変えていく。


「そりゃあ、そうだけどさ…」


剛志は本を読みながら、ソファーに寝転んでいる。


「まぁ、いつか現れるでしょ…
剛志に飽きない限りね。」