翌日、剛志は休み時間の度に乃里子のクラスを訪れた。


休み時間度とはいえ、剛志は自分のクラスで授業を受けていた訳ではなく、授業中は部室で時間を潰していた。


「剛志…私を見張ってるわけ?」


廊下で乃里子は剛志にだけ聞こえるように小声で言った。


「よく分かったな?」


「当たり前でしょ?」


不機嫌そうな声とは裏腹に、乃里子は周囲から見て違和感がない程度に微笑んでいる。


「…乃里子に嫌がらせするくらい勇気のあるやつの顔が見たくてさ。」


剛志は周りを見渡しながら、呟いた。


「…この姿では反論出来ないからって、なかなか言うじゃない?」


乃里子の眉がピクリと動いた。