「もしもし。」


『俺、もうすぐ着く。』


「分かったわ。」


乃里子は携帯を切ると、楓の肩にそっと触れた。


「楓ちゃん、自分を信じて。
私がいるから大丈夫よ♪」


乃里子は明るく笑うと、つられるように楓も笑った。


そして神谷のトラックが搬入口に入って来た。


トラックが停まり、神谷が降りてきた。


乃里子はそっと楓の背中を押した。


楓はそのまま神谷に歩み寄った。


「…楓さん?」


神谷は驚いた様に目を見開いた後、優しい微笑みを浮かべた。


「神谷さん…
あの、私…」



楓は少し俯いてから、意を決した様に顔を上げた。


「私、神谷さんの事が好きです!」