小学生になると、周りの態度はそれまで以上に変化していった。


「乃里子ちゃんって可愛いよな♪」


「他の女子なんてブスにしか見えねーし。」


「やっぱ乃里子ちゃんだよなぁ♪」


男の子達の子供っぽい会話。


だけどその言葉は、女の子にとってはナイフにも等しい凶器だった。


「乃里子ちゃんって、家がお金持ちだから特別なだけでしょ?」


「別に可愛くもないしね。」


「髪も茶髪で生意気だよ!」


女の子からのくだらない暴言。


乃里子にとっては痛くも痒くもなかったが、女の子にとって乃里子は邪魔以外の何者でもなかった。


乃里子はその日から学校へ行かなくなった。


女の子が怖い訳でも、いじめにあったショックからでもなかった。