乃里子はパソコンに向かっていた。


剛志は退屈そうにソファーで本を読んでいる。


「…よし、出来た♪」


乃里子が軽く背伸びをする。


プリンターが音を立てて動き出した。


「はい、読んでみて?」


乃里子は出来上がったばかりの新聞を、剛志に渡した。


剛志は本を閉じると、新聞を受け取った。


『心優しき令嬢の淡い恋』


大きな見出しが剛志の目に飛び込んできた。



…−−−…



幸助から話を聞いた翌日、乃里子は楓を屋上に呼び出していた。


「…姫様。」


楓は昼間に『放課後姫』に会えたことに驚いている様子だった。


「楓ちゃん。
…落ち着いて話を聞いてくれる?」


「…はい。」


深刻そうな乃里子の表情に、楓にも緊張が走った。


「楓ちゃんのお父様がね…
神谷さんにどなたか良い方を、とお考えらしいの…」


「…えっ!?」