「あぁ、えっと…
あっ、生徒会室に戻らないと!
じゃあ、またな♪」


隆晶は逃げるように部室を飛び出した。


「隆晶ー!?
待てこらっ!!」


隆晶を追い掛けるフリをして逃げ出そうとした剛志の腕を、乃里子は逃がすまいと掴んだ。


「剛志!?」


「いや…
だから…
その…」


「まぁまぁ乃里子、落ち着いて?」


「剛志、謝ったほうが良いよ?」


「馬鹿、悪くないのに謝れるかっ!!」


「ふーん…
悪くないんだぁ?」


「乃里子、やめなよぉ!?」


「剛志、八つ当たりするなよぉ!!」


騒がしい部室は、乃里子しかいなかった部室とは思えない明るさに包まれていた。


乃里子も剛志も笑っている。


未来と陽太と、多分隆晶も笑っている。


夕陽が優しい光りを放っていた。