剛志は乃里子を引き寄せると、強くでも優しく抱きしめた。


「んっ…」


目の前にいる乃里子を確かめるように、何度も口づけを交わす。


「ちょっ…
んっ…」


乃里子の抵抗も気にせずに、剛志は唇を重ねた。


音も何も聞こえないブースの中で、二人の息遣いだけが響いていた。


「…今…」


ようやく唇を解放された乃里子は、真っ赤な顔で剛志を見上げた。


「今、好きになったって言ったら…
信じるか?」


剛志が優しく微笑んだ。


「…信じるしかないじゃない。」


乃里子は苦笑いを浮かべ、愛おしそうに自ら唇を重ねた。


室内には外からの微かな明かりのみ。


静かで愛おしい時間は、ゆっくりゆっくりと過ぎていった。