「あぁ…そう。」


剛志が気のない返事を返すと、女生徒は逃げるようにいなくなってしまった。


「乃里子に何か伝える?」


「あぁ…
部室行く日はメールしてって伝えてくれるか?」


剛志の視線は再び教室に向けられるが、乃里子の姿は見つけられなかった。


「了解♪
じゃあね。」


未来は笑顔でそういうと、騒がしい教室に戻って行った。


剛志はしばらく様子を眺めてから、教室を後にした。


乃里子とすれ違う事一週間。


さらにまた一週間すれ違うかと思うと、憎いような寂しいような安心しているような。


剛志は複雑な心境だった。


乃里子との接点が、放課後しかない事に少なからず動揺している自分がそこにいた。