「澪ちゃんはあぁ見えて、小学生の女の子のお母さんなの。」


「マジか!?
若く見えるなぁ…」


「実際若いけどね♪
それにしても…
今回は複雑だったわ。」


「…複雑?」


「飼い犬がいじめられたみたいな?」


乃里子は悪戯っぽい笑顔を浮かべた。


その時剛志は、乃里子が怒っていた姿を思い出した。


自分の為に怒っていた乃里子。


『あれはどういう意味で言ったんだ?』


剛志は喉元まで出かけた言葉を、寸前で飲み込んだ。


「…いつから俺は犬になったんだよ。」


剛志は苦笑いを浮かべた。


「さぁね♪」


乃里子は楽しそうに笑った。


「もういいよー♪」


澪の声に乃里子が応え、二人は部室に戻った。