綺麗だった。 あたしが今まで見てきた中のどんなものより綺麗だと思った。 その人は、月明かりに照らされて、とても繊細なギターの音を奏でてた。 「こんばんは」 まるで一枚の絵画を見ているような感覚。だけどそんな感覚は、彼があたしに気づいて言葉を発したことによって掻き消されてしまった。 「ねえ、あんた…ひとり?」 「今は君がいるからひとりじゃないよ」 彼の目があまりにも真剣だったから、あたしの顔は誰が見ても分かるくらい真っ赤。