「智夏―、さっきからずっと黙ってんじゃん。喋ろうよぉ~」




妃那がひじであたしをつついてくる。



ごめん、今そういうどころじゃないんだ・・・




頭のなかは、あの顔がぷわぷわ浮いている。



しばらくは地上につきそうにない。




「あ・・・D組・・・」




顔を上げると、ちょうどD組を通ろうとする時だった。





勇気を出して、開いているドアからD組を見た・・・







バチッ・・・







どれくらいかは分かんないけど・・・



お互い見つめ合っていた。




慶悟は口パクで確かに





〝おはよ〟





こう言った。



しかも、特上の笑顔つきで。