「何を、視たの……?」

「ディラン国王。なにかに焦っているように視えた。だから」

ラディウスはそこで区切った。
口元に笑みが見える。

「今夜は兄さまに、夢を視せる。そして明日、セレスティア城に向かう」

「夢見……預言獣の力だね」

「そう。本来、預言獣は、預言を受ける幻獣じゃなく、預言する幻獣なんだ。兄さまに、幻獣王を召喚した結果を、夢に見せる。そうすれば召喚に嫌でも慎重になる。そして、ずっと気にかけていた赤目の、しかも自分にそっくりな俺が城に来れば」

「そっか……幻獣王の召喚を先延ばしにできるんだね」

「正解。幻獣王の召喚の優先順位は下がるだろう」

クルーエルはなんとなく、胸が弾むのを感じた。
楽しい、と思う。
これから先、どういう未来が待っているのか、すごく楽しみで仕方が無い。